時のオカリナRTA 基礎知識 セットアップ編

 

目次

 

  • *概要
  • ①起点作り
  • ニュートラルロール
  • ③シールドターン
  • ④ESSターン
  • ⑤ポーズバッファ

 

 

 

*概要

 

 


時のオカリナ(以下、時オカという)のほとんどのバグ技は、「位置調整」と「角度調整」と「タイミング調整」の3つの要素によって、例えどれほどシビアな技であっても人力での再現が可能である。

 

 


このゲームは横っとびやバック宙などのアクションは必ず同じ速度、同じ飛距離でリンクを動かすことができる。

例えばどの家庭の時オカでも、横っとびを2回すれば横っとび2回分の距離を移動するし、バック宙を3回すればバック宙3回分の距離を移動する。

こういった、ゲームの仕様上必ず同じように動かせる動作を組み合わせることで誰でもバグ技を再現可能にする"やり方"のことを、「セットアップ」と呼ぶ。

 

 


これらは全て、ありとあらゆる先人たちが開発・最適化を繰り返して生み出された成果の賜物で、時オカのバグ有りRTAはこのセットアップの開発とそのセットアップを開発するための研究調査のおかげで成り立っているといっても過言ではない。

 

 


また、逆を言えば、このセットアップを利用するための基礎知識さえあれば、このゲームのほぼ全てのバグ技は自力で再現が可能であると言える。

なので、この記事で扱うセットアップの基礎知識はRTAをするにしてもただバグ技で遊ぶにしても、非常に重要なものである。

 

 


以降の文章で具体的な基礎テクニックを紹介していく。

いずれも1つ1つはそれぞれ非常に地味だが、これらがあるからこそ大技ができるようになるので、面倒でもまずはこれらを覚えてもらいたい。

 

 

 

①起点作り

 

 


時オカのバグ技は、いずれも位置・角度・タイミングがシビアになることがほとんどである。

この後の項目で位置調整や角度調整などのやり方を紹介するが、どのようなセットアップでも、まずはそれらの起点になるポイントが必要になる。

どんなに正確に位置や角度を調整しても、その動作を始める時の角度や位置を揃えなければ意味がない。

先の例で上げた横っとびやバック宙は、地形が傾斜だった場合着地までの飛距離が若干変わるため、セットアップと同じ位置で横っとびやバック宙をしなければ意味を為さない。

デジタルグラムばかりの数値を一度ゼロに合わせるように、基準となるポイントをセットアップの始まりとして定めることで、初めて意味を為す。

 

 


では具体的にどうするかというと、「壁を利用する」ことで起点を作る。

 

 


時オカでは、正面の壁に接した状態でZを押すと、リンクの向いている方向を壁に対して垂直に、自動で揃える。つまり基準にする壁を定めれば、これでセットアップの起点になる角度を用意することができる。

この状態でその壁の隅からセットアップを始めたり、Zを押したまま角度を維持して別の壁の隅からセットアップを始めたりすれば、セットアップのスタート地点が出来上がる。

これによって、誰がいつやっても同じ角度と位置に立つことができる。ここから、目的の位置と角度を調整するためのセットアップを開始する。

 

 


また、マップのロードゾーンを通って新たなマップに移動してきた直後の立ち位置や、ムービーが終わって操作可能になったときの立ち位置も一定にすることができ、これを起点にしてセットアップを開始することもある。

マップ移動後の角度は常に一定だが、立ち位置に関してはロードゾーン通過時のリンクの速度によって変わるので、わざと勢いを殺してロードゾーンに入ったり、速度を殺さないようにロードゾーンに入ったりして、調整する必要がある。

 

 

 

ニュートラルロール

 

 


ニュートラルロールは最も汎用的な、角度調整位置調整の方法である。

ロールというのは前転のことで、プレイヤーにはお馴染みのアクションだ。

このロールアクションは、スティックを倒して走っている時にAを押すことで出せるものだが、スティックをニュートラルにしてZを押しながらAを押すと、短い一定距離のロールが出る。

この時、抜刀状態だとジャンプ斬りの入力になるので、剣はしまっておくこと。

 

 


本題はここからで、ニュートラルロール単体でも位置調整に使われるが、このニュートラルロールを横っとびやバック宙の着地後にZを押したままその位置から行うと、それらに応じて決まった方向にニュートラルロールの向きが変わる。

右横っとびの後なら右斜め前方向に、左横っとびなら左斜め前方向に、バック宙の後なら真横に近い右斜め前方向に、ニュートラルロールの進行方向が変化する。これを「サイドロール」と呼ぶ。

 

 


このサイドロールを出している最中にZを押し直せば、リンクの角度をサイドロールの方向に合わせることもできるため、角度調整位置調整のどちらもこのサイドロールのみで済ませてしまえるセットアップもめずらしくない。

 

 


ちなみに横っとび後にサイドロールを出したくないという場合は、Rで盾を一度構える、Zを推し直す、横っとびやバック宙の最中からRを押しっぱなしにしておいて少し待つ…

これらの動作でサイドロールを消すことができるので、こちらも合わせて覚えておくこと。

 

 


また、どの方向へのロールかを明確にするため、スティックニュートラルの短距離のロールを「ドライロール」、左右の横っとびからの派生を「サイドロール」、バック宙からの派生を「ダウンロール」と、それぞれ呼ぶこともあるので、覚えておくと良いかもしれない。

 

 

 

③シールドターン

 

 


次はリンクの向いている方向のみを変更する「シールドターン」という角度調整のテクニックを紹介する。

この方法は、リンクの立ち位置から動かさずに向きだけを変えるために使う。

Rを押し続けて盾を構えた状態にし、コントローラーの溝を利用して左右90度、または後方180度の方向へスティックを倒しておく。

この状態でRを一瞬だけ離してすぐにまたRを押し続け直すことで、その場を動かないようにしながらリンクの向きのみを変えるというテクニックである。

立ち位置を動かずに角度調整のみを行いたい場合は、このシールドターンが役に立つ。

 

 


ただし斜め方向に関しては、例えコントローラーの溝に沿ってスティックを入力していても、この斜めの入力値がコントローラーによって異なるため、セットアップには使いづらい。

セットアップ作りに際して、斜め入力は扱いづらいため除外することを皆分かっているので、基本的に使われることはない。

 

 

 

④ESSターン

 

 


先のシールドターンと同じように、その場を動かずに「角度調整」をするテクニック。

 


ESSというのはExtended Super Slideの各単語の頭文字を取ったもので、時オカのバグ技の名称である。

このバグ技を使う際に必要なスティックの入力を使うため、「ESSターン」という名で呼ばれている。

スティックを、リンクが歩かない程度に前方以外に少し倒すと、そのスティックの方向へリンクがその場で回転を始める。(このスティック角度のことをESSポジションと呼ぶ。)

これを左右90度または後方180度の方向まで回転させることで、シールドターンと同じようにぴったりの角度に調整が可能になる。

 

 


また、このESSターンにはもう1つ使い方があり、このESSポジションに1フレーム入力すると、リンクがESSターン1フレーム分回転する。

このターンする角度も1フレーム毎に一定であるため、これをセットアップに使うことが多い。

入力に少しクセがあるが汎用性が高く、多くのセットアップで使われているため、必須テクニックである。

 

 


このESSターンは1F毎の回転角度は区切りが良い値ではなく、ESSターンを続けて一周しても元の角度には戻らない。

例えばESSターンで真左を向いた場合と、ESSターンを数フレーム左へ回転させて見た目上は左方向を向いた場合とでは、同じ角度の値が得られないことは覚えておくこと。

 

 

 

 


これまでに紹介したものは特に通常のゲームプレイでは使われないテクニックだが、例えば盾突きや前転を壁にぶつけた時の反動や、剣を振った時のリンクの移動など、必ず同じ結果を得られる動作は他にも数多くあるので、リンクができる様々なアクションを少しずつ覚えていこう。

 

 

 

ここまでは「位置調整」と「角度調整」のやり方の紹介だったが、次はもう1つの要素の「タイミング調整」のやり方を紹介する。

 

 

 

⑤ポーズバッファ

 

 


位置調整角度調整が済んだら、いよいよタイミング調整をしてバグ技の実行にとりかかる。

これは必要な技とそうでない技とがあるが、必ずどこかでは使うので絶対に覚えておくべきテクニックである。

 

 


時オカは、ポーズを閉じる→ゲーム画面が1フレーム動く→ポーズを開く…というように、ポーズ画面をタイミング良く開閉させることで、最小の1フレーム単位でゲーム画面を進めることができる。

これを「ポーズバッファ」と呼び、例え入力猶予が1フレームしかないシビアなバグ技であっても、人力での再現を安定して行うことができる。

 

 


よくポーズ連打と言われるが、ポーズボタンを連打すると画面は1フレームも進まない。

ゲーム画面が1フレームだけ動くであろうタイミングを自力で見計らって、ポーズボタンを押している。

こればっかりは慣れとしか言えない。ポーズ開閉の音などを目印にしてタイミングを覚えると良いかもしれない。

 

 


このポーズバッファの便利なところは、ポーズ画面を閉じている間に入力があると、先行入力が働いて次フレームに最速でアクションを起こしてくれることである。

確実にシビアな入力をすることができるので、必ず覚えておこう。

 

 


ただし64実機でのプレイの場合、このポーズバッファは処理落ちの影響をそれなりに受けるので場所によっては少しやりづらくなることは覚えておいた方が良い。

 

 

 

 

 

 

以上のテクニックは、先述の通りいずれも通常のプレイでは使われることのない、バグ技をするためのテクニックであるため、資料として残すために簡単にではあるが紹介した。

 


意外とこういう情報は周知の事実として残らないことがあるので、気が向いた時にまとめてみた。

 


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